パンヘッドやショベルヘッドなどのヴィンテージハーレーを所有するライダーにとって、「キックスタート」はまさにバイクの“儀式”とも言える存在です。しかしながら、慣れるまでの苦労はなかなかのもので、心が折れてしまう方もいらっしゃいます。年々そのスタート操作が負担になってきた方や、街乗り・渋滞時での安心感を求める方にとって、セルスターターの追加は現実的で魅力的なカスタムでもあります。しかし、このカスタムは決して安価ではありません。





価格はセルスターターKITだけで約35万円です。現在、当店で良く使用しているのが、Tech Cycle(テックサイクル)製セルスターターKITです。このキットは高トルクで始動が可能な1.4kWスターターを中心に、各種ブラケットなどをオプションで備えていますので助かります。これに加えて、2インチもしくは3インチのオープンベルトKIT(主にBDL製)も必要となり、こちらは約12万円ほど。セル化に伴い他にも必要となるものがあります。
- 12V高出力バッテリー
- スターター対応オイルタンク
- 電装パーツや配線類
- クラッチアームや一次ドライブ周りの加工
- 取り付け工賃
総額では最低でも50万円、それ以上の予算が必要になります。
それでも、この投資には明確なメリットがあります
- 渋滞や坂道での再始動も安心
- キックでの始動に苦労するシーンを回避
- 高齢のオーナーでも長く旧車ライフを楽しめる
- 見た目に違和感がなく、クラシックな外観を維持できる
パンヘッドやショベルヘッドなどのクラシックバイクにセルスターターを追加するというのは、非常に高額な仕様変更であることは間違いありません。しかしその代わりに得られるのは、「快適・継続的なバイクライフ」という、何にも代えがたい価値です。仕様変更の際には注意点もありますが、バッテリーサイズを大きめな容量のものにしなければ、スターターを多用化していくことは難しいです。当店はカスタムの都合上、小型バッテリーを搭載することが多いのですが、ギリギリのパワーのためバッテリー上がりが多く見られます。なるべくキックスタートを使いながらで、保険でスターターも使用する、そんな用途であれば小型バッテリーでもOKですが、メインでスターターを使用するならば、それなりに大きなバッテリーを搭載することをオススメ致します。
スターターが欲しい!って悩んでいる方に参考にして頂ければ幸いです♪