こんばんは、オオガキです!
今週に入ってからは本当に秋らしい涼しさとなりまして、ようやく本格的にテスト走行ができる季節になってまいりました。夏の暑さもなかなか厳しいものがありましたが、先月は雨の日も多く、思うようにテスト走行が進められない日々が続いておりましたので、ようやく一安心といったところです。そんな気持ちの良い季節になってまいりましたので、今月はたくさんのバイク達がお客様のもとへお届けとなることと思います。修理や車検などでお預かりしていたお客様とも、先月は雨ばかりでなかなかお会いすることができませんでしたが、今月に入ってからはいよいよ動き出した感じがいたします。週末のご来店予約も次々と埋まってきておりまして、皆様もようやくバイクに乗れる季節を楽しみにされていたことと思います。これから初めてハーレーに乗ることになるお客様にとっても、こんな素敵な季節にバイクライフをスタートできるというのは、とても理想的なタイミングではないでしょうか。暑すぎず寒すぎず、エンジンにとっても人間にとっても優しい季節ですので、ぜひたくさん走っていただきたいと思います!
さて、それでは本日は、12月に開催されますホットロッドカスタムショーに展示予定のナックルヘッドプロジェクトを少しご紹介させていただきます。

今年は合計4台のカスタムバイクを展示させていただく予定となっておりまして、そのうち2台はお客様からお預かりしている車両を出展させていただきます。今回ご紹介するナックルヘッドも、まさにお客様からのご依頼によって製作を進めている1台でございます。とはいえ、現状はまだ仮組みすら終わっていない状況でして、開催日までの残された時間を考えますと、なかなか恐ろしいスケジュールとなっております。急ピッチに急ピッチを重ねながら、毎日少しずつ形にしているところです。



そんなナックルヘッドの中でも、ひときわ特徴的な存在となっているのが、こちらのインディアンに使用されていたリーフスプリンガーフォークです。
リーフというのは、いわゆる「板バネ」のことを言いまして、自動車のサスペンションなどにも古くから使用されてきた仕組みです。薄い板状のバネを何枚も重ね合わせ、その弾力を利用して衝撃を吸収するという、とてもシンプルで機械的な構造となっております。今回のフロントフォークは、その板バネを利用して上下運動を行う仕組みとなっておりまして、現代のバイクではまず見かけることのない独特なデザインが魅力です。パッと見ただけでも古い時代の雰囲気が伝わってくるような、なんとも言えない機械的な美しさがあります。こういった古い構造の部品は、機能そのものがデザインになっているところが面白く、個人的にも大好きな部分でございます。
ただし、今回はメーカーさんから購入した状態のまま取り付けるわけではありません。車両全体のカスタムコンセプトに合わせるため、フォーク本体にもさまざまな改造を加えながら、現在も仮組みを進めている真っ最中です。当店でもめったに使用することのない特殊なフロントフォークですので、いつものスプリンガーフォークとは勝手が違い、あれこれ探りながらトライしております。こういった作業は、実際に組み立ててみなければ分からないことも多く、少し変更しては動きを確認し、また分解して調整するという繰り返しです。
ちなみに、現在の状態でもそれなりに柔らかく上下運動ができるようになっておりますが、さらに柔らかい動きを求める場合には、重ねられている板バネを1枚ずつ抜いていくことで、バネの強さを調整することも可能です。もちろん、ただ柔らかければ良いというわけではなく、車両の重量や実際に走行した際の動きなども考慮しながら、適切なバランスを探していく必要があります。
見た目のカッコ良さはもちろん大切ですが、当店としては実際に走ることのできるカスタムバイクを製作することが基本ですので、このあたりも慎重に進めていきたいところです。

続きまして、フットコントロールの位置についても、今回のカスタムでは少し特徴的なポジションを選択しております。今回のナックルヘッドは、古い時代のレーサーを思わせるような雰囲気も取り入れたいと考えておりまして、フットコントロールは膝が約90度に曲がる位置となるミッドコントロール仕様です。さすがにバックステップと呼ばれるほど後方には移動させませんが、ハンドル位置を低く設定することで、自然と前傾姿勢になるようなライディングポジションを作る予定です。ゆったりと乗るボバースタイルとはまた違った、少し攻撃的な雰囲気が楽しめるナックルヘッドになるのではないかと思います。


そして、ミッションについても古い時代の雰囲気を大切にしておりまして、ナックルヘッドの時代をイメージしたメカニカルトップと呼ばれるシフター機構を備えた4速ミッションを搭載しております。このメカニカルトップというのが、なかなかクセのある仕組みでして、シフトレバーの動く範囲がとにかく大きいんです。現代のバイクのように少しの操作でギヤチェンジができるわけではなく、かなり大きくレバーを動かす必要がありますので、初めて乗る方にとっては慣れるまで少々難しい操作になると思います。
また、製作する側にとっても、この大きな可動域がなかなか厄介な存在です。シフトレバーが動く範囲を確保しなければなりませんので、周辺部品との干渉を避ける必要があり、取り付け位置やデザインにもさまざまな制約が生まれてきます。見た目だけを優先して製作するわけにもいきませんので、実際に操作できることを確認しながら、全体のバランスを整えていく必要があります。こういった古い時代ならではの不便さも、ヴィンテージハーレーの面白いところではないでしょうか。

そして、車体の基本となるフレームには、1930年代のショートホイールベース仕様のリジットフレームを採用しております。通常のリジットフレームと比べてもコンパクトな設計となっておりますので、完成した際には全長も短めで、ギュッと凝縮されたようなシルエットになる予定です。
今回のフレームは当時のスタイルを再現したレプリカ品なのですが、製作方法もなかなか興味深いものとなっております。一般的な電気溶接によって組み立てられているのではなく、ガスを利用した真鍮ロウ付けによって接合されているフレームです。現代では溶接技術も大きく進歩しておりますが、あえて古い時代の製法を取り入れて製作されているところにも魅力を感じます。それにしても、1930年代という約90年も前のデザインを再現したフレームが、今でも購入できるというのは本当にすごいことだと思います。これだけ長い年月が経過しても、当時のスタイルを愛する人達がいて、それを製作し続けてくれるメーカーさんが存在する。こういったカスタムバイクの文化が今でも続いているということは、改めて考えてみると素晴らしいことだと思います。

そして、ガソリンタンクには当店オリジナルの「コヨーテタンク」をベースに、さらに改造を加えていく予定です。もともとコヨーテタンクは横幅を狭く設計しておりまして、車体全体をスリムに見せることが得意なデザインとなっております。
今回のナックルヘッドは、前後19インチのホイールを選択するなど、全体的に細身でコンパクトなシルエットを目指しておりますので、このコヨーテタンクとの相性も非常に良いと思います。
ただし、今回はそのまま取り付けるわけではなく、フレームや車体全体のバランスに合わせて、さらに形状を変更していきます。もともと細身のタンクではありますが、今回のカスタムコンセプトに合わせて、より一体感のあるデザインに仕上げていきたいと考えております。
まだまだ完成形にはほど遠い状態ではございますが、今回のナックルヘッドは普段の当店のカスタムとはまた違った雰囲気を持つ、非常に個性的な1台になる予定です。完成までの道のりはなかなか険しそうですが、こうして少しずつ形になっていく過程も、カスタムバイク製作の面白いところだと思います。