こんばんは、オオガキです!
本日は、パンヘッドエンジンの全分解工程をババッとご紹介したいと思います♪
ヴィンテージハーレーに乗られている皆さんの中には、ご自身でエンジンを分解・整備される方もいらっしゃると思いますし、これから挑戦してみたいと考えている方もいらっしゃるかと思います。そんな皆さんに、少しでも参考にしていただければうれしいです。今回は、とりあえずエンジンをバラバラにしていく工程がメインとなりますので、細かな整備方法については省略させていただきますが、分解する際の注意点や気を付けておきたいポイントなども、ところどころ付け加えながらご紹介していきたいと思います。
ヴィンテージエンジンは長い年月を経ているだけに、思いがけないトラブルや過去の修理跡などが見つかることも珍しくありません。無理に分解を進めてしまうと、かえって部品を傷めてしまうこともありますので、慎重な作業が必要です。
それでは早速、パンヘッドエンジンをバラバラにしていきましょう~!

こちらのパンヘッドエンジンは、アメリカから輸入してきた個体で、日本国内ではまだ実際に走行させていない状態です。ただし、当店のテストテーブルにてエンジンの始動確認は行っておりまして、その際には大きな問題もなく、ひとまず無事に始動することが確認できています。とはいえ、あくまでも一時的な始動テストですので、実際に走行させてみなければ分からない部分もたくさんあります。現時点では大きなトラブルは見受けられませんが、細かな調整や修理が必要になる箇所は、それなりに出てくるのではないかと想像しています。何しろ数十年前のヴィンテージエンジンですので、外から見ただけでは内部の状態までは分かりません。これまでにどのような整備が行われてきたのかも不明な部分が多いため、今回の全分解によって各部の状態をしっかり確認していきたいと思います。


まずは、プッシュロッドを取り外すところからスタートです!プッシュロッドカバーの外し方はいくつかありますが、私は画像のようにマイナスドライバーを横から引っ掛けるようにして取り外しています。最初に少しだけ隙間を作り、その隙間にドライバーを引っ掛け直して、カバーを完全に取り外します。無理に力を加えるとカバーを傷めてしまうこともありますので、このあたりは慎重に作業していきます。



続いて、プッシュロッド本体を取り外していきます。まずは、プッシュロッドがバルブスプリングの力で押し下げられていない位置を探します。プッシュロッドを指でつかみ、左右にクルクルと回転できる状態になるまでエンジンを回していきます。指の力で軽く回転できるようになりましたら、プッシュロッド下部にある調整ネジを縮めていき、プッシュロッドを取り外します。この作業を4本すべて、1本ずつ順番に繰り返していきます。
ちなみに、今回のエンジンには「ソリッドタペット」と呼ばれる部品が使用されています。このタイプはプッシュロッド側に調整ネジがなく、タペット側で長さを調整する仕組みとなっています。プッシュロッドやタペットにはさまざまな種類がありますが、ショベルでは、プッシュロッド側に調整ネジが付いているタイプが一般的です。パンヘッドでは、今回と同じタイプがあったりショベルと同じタイプもあります。


プッシュロッドが取り外せましたら、続いてシリンダーヘッドの分解へと進んでいきます!今回はすでにエンジンをフレームから降ろしている状態ですので、このままでもロッカーカバーを取り外すことができます。そのため、まずはロッカーカバーから先に外しちゃいます。
ヴィンテージエンジンを分解する際に気を付けておきたいポイントをひとつご紹介します。これはエンジンのどの部分にも共通して言えることなのですが、古いエンジンの場合、長年の整備や分解を繰り返してきたことで、ネジ山が傷んでいることが少なくありません。そのため私は、ボルトを緩めて取り外す前に、まずは軽く増し締めをして、ネジ山がしっかり生きているかどうかを確認するようにしています。もちろん、無理に力を加えてしまうと逆にネジ山を傷めてしまいますので、そのあたりは慎重に確認していきます。
なぜ先に確認するのかと言いますと、分解時には気付かず、すべての部品をキレイにして、いざ本組み立てという段階になってからネジ山の不良が発覚すると、再び修理の工程が増えてしまうからです。場合によっては、せっかく組み立てた部分をもう一度分解しなければならないこともあります。そうならないためにも、分解しながら不具合を見つけておくことがとても大切です。
ただバラバラにするだけではなく、組み立てる時のことまで考えながら分解していくのが、ヴィンテージエンジンの整備ではポイントだと思います!



シリンダーヘッドを固定しているボルトを緩めていきます。この作業、一般的なレンチだけでも不可能ではありませんが、場所によっては工具が入りにくく、なかなか時間がかかってしまいます。特に内側にあるボルトは作業スペースが狭く、工具を振る角度も限られているため、力を加えるのが結構大変です。
そんな時に便利なのが、画像のようなS型のレンチや、小ぶりなラチェットレンチです。こういった工具があると狭い場所でもアクセスしやすく、作業がずいぶんスムーズになります。ヴィンテージハーレーの整備では、一般的な工具だけでは作業しにくい場面も多いため、ちょっと変わった形状の工具を持っていると意外なところで役立ちます。



続いて、ロッカーアームを分解していきます!このロッカーアームは、各部がスタッドボルトとナットによって固定されている構造なのですが、これがまた結構厄介なことが多いんです。長年の使用による固着などもあって、ナットを緩めるだけでも一苦労することがあります。今回は比較的スムーズに取り外しが進んでいたのですが、どうしても工具がうまく噛み合わない箇所が1か所だけありました。よく確認してみると、すでにナットの角が舐めてしまっている様子です。こうなると、無理に工具を掛けて回そうとしても、さらに角を丸くしてしまうだけで、余計に取り外しが困難になってしまいます。そこで今回は、これ以上無茶をする前に、ナットに溶接をして取り外す方法を選択しました。
ヴィンテージエンジンを分解していると、こういった「緩めることすらできないネジ」があちこちから出てきます。本来なら数分で終わるはずの作業が、たった1本のボルトやナットのおかげで何十分、場合によっては何時間もかかってしまうことだって珍しくありません。しかも、そんな予想外の作業が次から次へと追加されていくものですから、なかなか予定どおりには進んでくれません。



いよいよ、バルブを取り外していきます!バルブを取り外すためには、まずバルブスプリングを圧縮する必要があります。その際に使用するのが「バルブスプリングコンプレッサー」と呼ばれる特殊工具です。ハーレー専用の工具を用意すると、とても作業がしやすいのですが、一般的な汎用品でも十分に分解することができます。
まずはコンプレッサーを使ってバルブスプリングを圧縮し、スプリングを固定している「コッター」と呼ばれる小さな部品を取り外します。このコッターがストッパーの役割をしているため、取り除くことでスプリングの固定が解除されます。あとはコンプレッサーをゆっくり緩めてスプリングを取り外せば、バルブ本体を抜き取ることができます。
ここで、ひとつ注意しておきたいポイントがあります!それは、バルブを取り外す前に、それぞれの取り付け位置が分かるようにマーキングしておくことです。特にパンヘッドの場合、各バルブの寸法や見た目がよく似ているため、何も考えずに4本まとめて取り外してしまうと、どのバルブがどこに付いていたものなのか、判断するのが難しくなってしまいます。
もちろん、最終的には各部の摩耗状態を確認して、再使用できるかどうかを判断することになりますが、もともとの組み合わせを把握しておくことはとても大切です。これはバルブに限った話ではありませんが、分解した部品はできるだけ元の位置が分かるように整理しておくことをオススメします。



シリンダーを取り外していきます!こちらの作業はとてもシンプルで、シリンダーを固定している4か所のナットを取り外し、シリンダーを上方向に引き抜くだけで分解することができます。ただし、その前にひとつやっておきたいことがあります。それは、シリンダーの外側に長年蓄積している汚れを、できるだけキレイに取り除いておくことです。
ヴィンテージエンジンの場合、シリンダーのフィンの隙間や根元付近には、オイル汚れや砂ぼこりなどがビッシリと付着していることも珍しくありません。そのままシリンダーを引き抜いてしまうと、これらの汚れがポロポロと落ちて、クランクケース内部に入り込んでしまう恐れがあります。そのため私は、分解する前にパーツクリーナーなどを使って、できるだけ汚れを落としておくことをオススメします。
もちろん、シリンダーを抜き取った後はクランクケースの開口部をウエスなどでふさいで、異物が入り込まないようにしておくことも大切です。どうせ全分解するのだから多少汚れても大丈夫、と思ってしまいそうですが、余計なゴミを内部に入れないに越したことはありません。



エンジンのギアカバーを取り外していきます!パンヘッドエンジンは、このカバーを取り外すと内部にたくさんのギアが並んでいる様子を見ることができます。これらのギアは、それぞれが噛み合いながら回転しているわけですが、ギア同士の隙間、いわゆるバックラッシュがとても重要になります。ギアの歯と歯の隙間が少なすぎると、回転が渋くなってしまったり、異音が発生する原因となります。逆に隙間が大きすぎても、ガタガタと音が大きくなってしまいます。どちらかといえば、隙間が少なすぎる状態よりも、多少余裕がある方が各部にかかるストレスは少ないと思いますが、もちろん大きければ良いというわけではありません。最終的には、それぞれのギアの状態を確認しながら、適正なクリアランスになっているかを点検していきます。
また、オイルポンプについても同じことが言えます。オイルポンプはエンジン内部にオイルを循環させる大切な部品ですので、回転が渋かったり、内部で引っ掛かりがあったりする状態は非常に危険です。エンジン全体の潤滑に関わる部分ですので、こちらも慎重に点検していきたいところです。
そして、今回のエンジンでちょっと珍しい部品を発見しました!それが、アルミ製の純正タペットブロックです。パンヘッドのタペットブロックにはいくつかの仕様がありますが、今回装着されているアルミ製の純正品は、そもそも採用されていた個体が少なく、なかなかお目にかかれない貴重な存在です。こういった希少な純正部品が残っているのは、ヴィンテージエンジンならではのうれしいポイントですね~。せっかくの貴重な部品ですので、摩耗や損傷などをしっかり確認し、使用に問題がなさそうであれば、このまま再使用していきたいと考えています。

途中、写真を撮ることをすっかり忘れながら、一気にバラバラにしてしまいましたが、これにてパンヘッドエンジンの全分解が完了です!
こうしてすべて分解して並べてみると、エンジンだけでも本当にたくさんの部品が使われていることがよく分かります。長年使われてきた中古部品でも、状態が良ければそのまま生かして使いたいものもありますし、今後の安心を考えて新品に交換しておきたいものもあります。何でもかんでも新品にすれば良いというわけではありませんし、古い部品を無理に使い続けることが正解とも限りません。それぞれの部品の状態をしっかり見極めながら、再使用するものと交換するものを選定し、これから組み立てに向けた準備を進めてまいります。まだまだ先は長いですが、ここからが本格的なエンジン整備の始まりです!
それでは、また続きは後ほどご紹介したいと思います♪